林業と観光

こんにちは。臼田です。

林業と観光について書いていきます。

先日2つのイベントに参加させていただきました。一つは庄原DMOさん主催の庄原地域活性化セミナーと言うことで、南雲朋美先生から学んだ内容は「地域の魅力は「土」と深い関係にあり、その土地のあり方、成り立ちから地域独自の魅力となる要素を発見していく手法を学んでいきます。」でした。二つ目は安芸太田町にてNPO法人自伐型林業推進協会主催の「安芸太田町自伐型林業フォーラム〜地域の豊かな森林を活かし地域の生業を創造する〜」へ参加してきました。お手伝いも兼ねて伺ったので講師の方々とたくさんお話ができて大変勉強になったので簡単にレポートします。

南雲朋美先生

まず南雲先生のセミナーから書こうと思います。南雲先生は慶應義塾大学の卒業で現役の講師でもあります。今では超有名な星野リゾートでブランディングやマーケティングのお仕事をされていたそうです。現在は独立されて講師業以外に有田焼の再生事業などで各地の観光資源をサポートされています。これだけでもすごい経歴なのでとても楽しみにして行ったのですが、事前のリサーチで林業のお話を書いているのを拝見し、俄然興味が湧いて会場を訪れました。

土と土地と歴史

「土」、「土地」、「歴史」これらからストーリーを作る。出来あがったストーリーがまずスタッフの中で腹落ちするか(納得度)。スタッフが腹落ちしていると自然と社内でそのサービスを行っていく、提供して行くことに工夫を凝らして自ら動く風土が出来あがる。ここに企業や事業として「ビジョン」、「ミッション」、そして「コンセプト」があって形になる。抽象的で分かりにくいと思いますが、先生の挙げられた例を少し引用します。

鹿児島のいも焼酎と黒豚

我々が通常観光資源を使って地元を盛り上げようとするとどう言う発想になるかというとまず特産品を列挙します。広島と言えばお好み焼き、もみじ饅頭、宮島、牡蠣等々。特産品だから、美味しいから、生産量日本1位だからPRするところから始めると思います。昔からおやつとして食べられてきたから、銘菓だから、世界遺産だから、瀬戸内の温暖な気候が・・・。でもこれではどこに行っても同じですよね。その土地には名産や名所は探せばある。じゃあ他の地域と違ってどうそのことを差別化し際立たせていくか、それが先生の言う「土」、「土地」、「歴史」なんだそうです。

先生が鹿児島を訪れた時、散歩中にあることに気がつきます。家々の周りを囲っているブロック塀がやけに苔ぶいていたそうです。これはシラス台地の軽石が使われ隙間が多いこと、加えて温暖湿潤な気候のためだと分かったそうです。そのシラス台地は150mもの地層として堆積しているので水捌けがよく水田には不向きでした。

そこで通常はアワやヒエといった作物を作るところなのですが、鹿児島は日本でも台風の接近や上陸が一番多い地域なのだそうです。そうすると上に伸びる作物は作れません。そこで登場するのが芋です。さつまいも。

さつまいもが特産になったのはそう言う経緯からです。そのさつまいもを使って作るお酒はもちろん日本酒ではなく焼酎、しかもいも焼酎なのです。ここから黒豚に繋げていくのですが、焼酎の搾りかすなどを使って肥育したのが黒豚になります。黒豚も琉球から上がってきた経緯があるそうです。

シラス台地→さつまいも→いも焼酎→黒豚と言うストーリーが出来上がるわけです。皆さんもお気づきとは思いますが、実際には鹿児島は牛も地鶏も有名です。先生の提唱されているのはあくまでストーリーを作ってブランディングをしなさいとのことでした。

そのため他にも様々なアプローチの仕方はあるのです。じゃあその様々なアプローチから自分達はどれを選べばいいのか、その時に自社のミッションやビジョンとガッチするものを選択すれば良いとのことでした。そうすることでストーリーに対して社員が腹落ちするのです。企画として一方的に通達があってするものからストーリーを理解し、納得して自分達でサービスを考えて動く体制になるそうです。

実際には地元の協力を仰ぎに行ったりとか、銀行に融資の相談にいった時も大いに役立つとのことでした。

あーやっぱり長くなった。実はセミナーを終えてから社長に始まり、同僚と家族とこのブログと熱量冷めぬまま凄い人にすごい話を聞いたと触れ回っていまして、まだまだ書き足りないw。実際にこの鹿児島の例の前に赤ワインと白ワインの話もしてくださったのですが、これが私にはとても腑に落ちたのです。スペインのお話だったので鹿児島の方が私の拙い説明でもまだ雰囲気が伝わるかと思いそちらの話を採用しました。

もし、興味のある方がいれば是非南雲先生のお話を聞く機会に足を運ばれて損はないです。

終わりに

セミナーは南雲先生の具体的な例を交えた手法の話から会場で参加者から庄原の魅力を上げて行くものへと実践に触れる機会も作っていただいたものとなりました。大変勉強になりました。

お話を聴きながらふと私の大学時代の恩師2名の言葉が思い浮かびました。

一人は動物福祉論を教えていただいた先生で比較動物学の授業だったと思います。「君たちは最近土に触れたか?(踏んだか)」

もうお一方は昆虫学の先生です。野生動物の調査をされたりしている方でした。森の中で動物をどう見つけるか質問した時です。「まず、植物を見なさい。」

南雲先生と繋がりがはっきりしないかもしれませんが、動物の勉強していた私は動物がいるとつい動物自体に目がいってしまい本質を見逃すことがあるのです。裸足で歩いている動物が感じる感覚を日頃から感じるようにしているか。と言う先生のお言葉でした。次も森に入って野生動物を見つけるのは至難です。だからまず食べ物を探すそうです。動物のことだけ勉強していればいいと思っていた我々への先生の至言でした。

南雲先生からも物事にとらわれず、広い視野で自分の盛り上げたい分野を見て行くことを教わった気がしました。先生が苔に気がついたのも自ら現場を歩いて肌で感じ、目で見て五感を使って地域と触れ合ったからだ思います。

また大学で勉強したいな〜と思いながら帰路についたセミナーでした。

フォーラムの話はまた次回に、それではまた。

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