こんにちは。株式会社FOREST WOKERの臼田です。
先日、350年生の杉の木を製材する機会がありました。ここに至るだけでもなかなか大変な道のりでした。今回はその話を書かせていただこうと思います。
ツリーケア事業と350年生の杉
庄原市のお寺のお墓に350年生の杉の木があり、ツリーケア事業で伐採を行いました。周りにお墓があったため樹上に登り上から順に伐っていき、伐った木はクレーンで吊り上げて離れたところに止めてあるトラックに積み込みました。ツリーケア事業では木の大きさに応じて重機などは変えます。安全に伐り倒せれば必ずしも樹上に登って伐ることもありません。支障木などは大きくなる前に相談していただけると危険も少なく、費用も抑えられることが多いです。
伐り出すだけでもかなり大変だったのですが、問題は伐り倒した木をどうしようかと。一番スタンダードな方法はパルプ材として引き取ってもらう方法です。経費も抑えられ、手間もかからないのですが、350年も生きてきた木をただパルプ材にするのはもったいない。申し訳ない。(パルプ材は生活の上で重要です。パルプ材のために木を切り出すことも林業の一環です)350年生の木を手間や経費をかけて活用の道を見出せれば、今後我々が関わる木々にも応用できる経験ができると考えました。しかし、製材して板にしてみてから活用方法を考えよう。それくらいの考えだったのですが甘かった。
350年生の大径木の製材
それは苦労して伐り出して来たものの、製材できる製材所が見つからないのです。地元の製材所は全滅。近隣の大きな製材所はそもそも一本の木を持ち込んだ製材では取り合ってももらえませんでした。ツテを辿って、なんとか辿り着いたところではとても高い費用で製材してしてくださるとのこと。どうやら宮大工さんとかが利用する所なので、その業界では相場のようでした。他に選択肢がなければそこにお願いしようと思っていた矢先に、繋がりのある木工店の方から府中家具で有名な府中市に外材を輸入して製材している場所があるとのこと。早速連絡したところ快く引き受けてくださり、値段もリーズナブル、その上気になるようだったら製材するところを見学してもいいとのこと。もちろん社員全員で伺うことをお伝えして、直径100cm以上の材をトラック2台に4本積み込み、乗り込んだのです。
圧巻の製材技術
着いてみると海外から輸入されたこの350年生の径に匹敵するような木材がゴロゴロしています。製材するのも相当時間がかかるだろうと思っていた我々も製材するのを見入っていたら、あっという間に2時間で製材されてしまいました。積み込むのも一苦労して積み込んで来たのですが、流石プロ!慣れた様子で1t級の丸太をどんどん製材してしまいました。製材して板にした材を倉庫に持ってきて1年間乾燥です。これから様々に活用していこうと思っています。まずは水分がしっかり抜けるまで寝かせます。
林業の現場では木を伐り出すと製材所や市場に持ち込みそのままその先を追うことはありません。市場で木を購入する人や製材所の人でも、その木が誰がどのような思いを持って育て、どこから伐り出され、誰が伐ったのか知ることはまずないと思います。我々消費者のところに行き着く頃には最早遡って調べることも不可能だと思います。
我々の身近にある家の柱やフローリング、机や棚、紙や鉛筆などどこの誰が育てたどんな木なのだろうとこの職業に就いてはじめて考えるようになりました。誰かの思いが詰まった歴史のある木を、また思いを伝えるために必要とする人に届けられる日が来るといいなと思ってこれからも頑張ろうと思います。
それではまた。臼田でした。