電動ウィンチから、見えること

現場のこと

送電線下の伐採・地拵えもいよいよ大詰めとなって参りました。

この作業の手順としては、まず下草や小径木を刈払機で刈り、杭を作って伐倒した木や枝条を積んで島を作り、仕上げにその島を刈払機で整えて行きます。

その中でも作業量的に最も多く考える必要があるのが、伐倒作業です。

通常の間伐とは現場の環境や条件が異なります。

具体的には、まず送電線を意識した作業手順を考えることから始まります。

木の生え方や重心の位置、斜面などの条件を見て、通常通りの受け口と追い口を作って倒す方法だけだとどうやっても望む方向に倒せない事が分かった場合、チルホールという牽引器具を併用します。

このチルホールですが、通常のものだと金属製の本体と木に掛けるワイヤー、チルホールを固定するためのワイヤーを使います。

これらを使用することで、例えば下向きに生えている木でも上方向に倒す事が出来ます。

非常に便利な道具なのですが、本体を含めワイヤー等も全て金属製なのでとても重たく、今回の現場の様な送電線下の作業では鉄塔のある場所まで結構な距離を登るので、持ち運びの点で労力を要します。

さらに木を牽引する際も、手動で張力を高める必要があるのでとても力を使います。

弊社ではこれらの課題をどうやって解決し、より効率的に作業を行えるかを模索した結果、電動ウィンチに行き着きました。

この本体はエンジン式で、重量は通常の金属製チルホールよりも軽く、牽引には専用の繊維製のロープを使用し、本体を固定する為にスリングとシャックルを使って切株などに繋ぎます。

使い方は、専用のロープを本体にセットし、ロープの先端を牽引する木に巻き、エンジンを掛けてロープを引きます。

引く為に必要な力は本当に少なく、また道具の重量も素材の関係で従来のチルホールと比べるととても軽いので持ち運びにも優れ、牽引力も高いので作業効率が大幅に向上しました。

とはいえ、あまりに低い位置にロープを掛けると、エンジン式と言えども厳しい所があります。

ロープを木に掛けるには、目標の所に向かってロープを投げるのですが、より牽引しやすくする為に高い位置へ投げようとするとロープでは難しいものがあります。

そこで弊社が使用するのは、こちらのスローラインという道具です。

折りたたんだ状態。

広げると箱状に。

 

重りを付けて投げることで、遠くへ飛ばせる。

 

この道具は、弊社でも行なっている、ツリーケアサービスの作業で使用する物です。

ツリーケアサービスでは、木に登って伐採を行うので、登る為のロープを掛ける際に使用します。

軽くて丈夫な細いラインの先端に重りを付けて投げる事で、飛距離と高さを求める事が出来ます。

このスローラインを使う事で、ロープでは届かないような位置でも飛ばす事が出来ます。

これで目標の位置まで飛ばし、重りの付いた先端を人の手の届くとこまで降ろし、重りを取って先端を電動ウィンチのロープの先端と結び、スローラインを引く事で、電動ウィンチのロープを手元まで持って来る事が出来ます。

スローラインの先端に、ウィンチのロープを結ぶところ。

 

ロープの先端を電動ウィンチから伸びたロープに潜らせて輪を作り、引っ張る事でロープを木の高い位置に掛けた状態にします。

後は必要に応じてプーリー(滑車)を噛ませる事で、より少ない力と安全な場所から木を牽引する事が出来ます。

この様に、便利な道具と用途の応用によって、作業効率の向上と安全性の確保を得る事が可能になりました。

個人的に、客観的に見て思う事ですが、工夫や応用、アイデアの豊富さやそれを採用する柔軟さといった社風にはハッとさせられます。

今回お伝えしたかったのは、作業内容ももちろんなのですが、それらを通して感じる社風でした。

常に発見と刺激を味わえる会社なんだなぁと、出張の終わり頃に再認識した今日この頃なのでした。

そんなひと時を、あなたもいかがですか?

〜和田〜

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